スタジオ訪問:画家Masashi Ozawa

2016月12月29日

ミュージシャンを描くMusical Moodシリーズや、女性をモチーフにした絵画が人気の画家・小澤雅志さん。三軒茶屋駅からほど近いマンションの一室にスタジオを構えている。大きな窓がたくさんある広々とした室内は、とても日当たりが良い快適な空間だ。20171月にNeed Supply Co.東京店、そしてTrattoria Babboで同時開催する個展『Two Perspectives ~2種類の視点~』を控えた小澤さんに、個展への意気込みと創作活動について話を聞いた。

自然光の中で制作することにこだわる小澤さんが絵を描くのは、午前中から日が落ちるまで。外が暗くなったら筆を置いて、スケッチやプラン作りなど、他の作業を進める。また、友人と飲みに行ったり、お兄さんが経営するバーを手伝ったりして夜を過ごすこともある。そして週末は、生まれたばかりのお子さんと一緒に家族で過ごす時間と決めている。

 

茨城県で過ごした高校時代、小澤さんはサッカー部に所属していた。進路を決めるとき、サッカー選手か絵描きになりたいと思ったそうだ。しかし、実際はサッカー選手になる夢はあまり現実的ではなかった。サッカーと同じくらい音楽が好きだった彼は、音楽関係のグラフィックデザインに興味があること、そしてデザイナーなりたいということを美術の先生に伝えた。先生の「じゃあ、お前サッカー部やめろ。現役で大学合格できないぞ」というアドバイス通りサッカー部を潔く退部した小澤さんの新しいゴールは、美術大学を合格することになった。

当時、助言してくれたこの美術の先生は、小澤さんが人生で影響を受けた人物のひとりだ。「ごりごりの絵を描く人で、人としても魅力的でした。技術もすごい。ぶっきらぼうだけれど、実はとても優しくいい人だった」。好きなアーティストは、マチスやピカソ、ミロ、バスキア、タピエス、シケイロスなどたくさんいて、デクーニングやポロックなどからも影響を受けている。

美大生時代から、デザインを学びつつ、絵画作品の制作もしていた小澤さんだが、現在のスタイルに行き着いたのはつい3、4年前。それまではさまざまなスタイルの絵を試し、10年間かけてようやく自分らしいスタイルが見つかった。現在、絵を創造する上で「何も苦しみを感じていない」と話す。柔らかい陽の光の中で新作に取り組む姿からは、楽しみながら創作活動を進めている様子が伝わってきた。

1月にNeed Supply Co.とTrattoria Babboで同時開催される個展のタイトルは『Two Perspectives(2種類の視点)』。そのタイトルに秘められた思いについて訊いた。「店の形態が違うんで、単純にふたつやりたいと思って、それで雰囲気を変えたいと思いました。Babboは、今までやってきたMusical Moodを紹介したい。そして、2階のNeed Supply Co.は、普段女性を描くときはヌードの設定で描くことが多いのですが、ファッションを意識して、服やアクセサリーを身につけているものを中心に描きたい、と思いました」。ファッションをテーマにした作品は小澤さんにとって初の試みだ。今まで、女性を描くときは“普遍的”という理由でヌードを選ぶことが多かった。「でも、最近は逆に芸術は時代と密接してるものだから、“今”を描いたほうが“今っぽく”見えたりして、そういうことしたほうがいいんじゃないって思った」

では、小澤さんはどのような視点で世の中を見ているのだろう? 「意識してるのは、身の回りで起きてる面白いこととか。まあ、カルチャーですよね。そいうものをちゃんと吸収するようにしています。雑誌を見たり、街に出たり、セレクトショップへ行ってみたりとか。こういう仕事やってるとこもりがちになるので、意識的に外に出るようにしています」

絵を描くときに、ベースとなる写真がある場合も多いが、それをただ忠実に描くのではない。「たとえば、髪型や長さを変えてみたり、肌の色を変えたり、自分でアレンジしたりします。オーダーで受ける絵の場合は、クライアントの意向があるけれど、アレンジが可能な場合は、元の写真に似てなくてもいいと思って」。今回、Need Supply Co.のために描き下した作品も、ファッション誌の写真が基になっているものがあるが、モデルの人種や着ている洋服は小澤さんがアレンジしている。「服とかも考えて自分で変えたり、すごく新鮮でした。妄想を膨らませました」とうれしそうに話してくれた。

小澤さんの作品に共通するのは、ポジティブなエネルギーを発する独特で鮮やかな色使いだろう。「テーマより先に色を決めちゃうこともあります」。そう小澤さんは話し、高校時代からずっと使っている年季の入った色見本帳を取り出して見せてくれた。「“今回は赤でいきたいな”というような感じで色を決めることもあります。あまり、絵に哲学は込めてないので、作り方も遊びみたいになります。フィーリングだったり、偶然の要素だったりがいっぱいあります。結局、派手な色になっちゃいますね」

クリエイティブでいるため、外に出て、何が流行っているのか自分の目で確認することを小澤さんは心がけている。いつも同じ場所にいないように、同じ行動はしないようにし、億劫だと感じることにも積極的に顔を出すようにしているとのこと。

その中でも無類の音楽好きの小澤さんは、頻繁にライブに行くようにしている。「アーティストのライブを観て、その残像を描いてみたんです。そしたら、自分的にすごくハマって、“ああ、これいいな”と思った。やっぱり、ライブに感動して、それで描いた絵はすごく気持ちいい。それをSNSに載せたらアーティスト本人からも感想をもらったこともあって、すごくうれしかった」。それからは、ライブで写真を取らずに、自分の頭と体が覚えている記憶だけで絵を描くことも楽しんでいる。

今年、第一子が誕生した小澤家。そのことが何か絵のスタイルに及ぼした影響はあるのだろうか? 「柔らかさが出るとか、乳白色を多用するとか、そんなのはないです(笑)。でもモチベーションは変わりました。子どものために絵を描いているとか、稼ぎたいとかそういう気持ちは生まれました」。まだお子さんを被写体にした絵は描いていないそうだが、今後が楽しみだ。

最後に小澤さんにとっての必需品(ニードサプライ)について尋ねた。その答えは、「パッション」。「描きたい!という情熱を感じるのが重要。音楽を聴くとか、映画とかだけじゃなくて、自分が感受しうる全てのことに、ちゃんとアンテナを張っておきたい」


Profile:

小澤 雅志 Masashi Ozawa
1980 年生まれ。Painter。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒。大学在学中から作品づくりを本格化し、今日に至る。
近年は音楽から強くインスパイアされた作品群MUSICAL MOOD シリーズの制作を進めるとともに、多数の飲食店やアパレルブランドとのコラボレーション等、幅広く活動している。絵のなかにおけるリズム、色彩のバランス、筆やスプレーや、ときには指などで生まれる多様なタッチ、それらは作者にとってあたかも楽器であり、紡ぎだされた作品は一つの曲のようなものである。
http://masashiozawa.com/


Event Information:

Masashi Ozawa Exhibition
Two Perspectives ~2種類の視点~

Dates: 1月21日~2月19日
Place: Need Supply Co. Tokyo & Trattoria Babbo

Opening Party
個展初日はNeed Supply Co.店内にてオープニングパーティーを開催いたします。
どなたでもご参加いただけますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

Pop Up Jazz
最終日はTRATTORIA Babboにてジャズの生演奏の中でMusical Moodの世界観を感じながらお食事をお楽しみいただけます。


*3月25日追記*

Masashi Ozawa Exhibition at Need Supply Co. 熊本店

Dates:3月25日~4月30日

東京店に続き、熊本店で個展を開催いたします。ぜひこの機会に小澤さんのアートの世界をお楽しみください。