対談:南 貴之

Words: Sam Wittwer

2016月7月13日

Need Supply Co.にはアメリカ本国と日本、それぞれにクリエイティブ・ディレクターがいる。アメリカはオリジナルブランド【NEED】を始め、すべてのクリエイティブを統括するゲイブリエル・リチョッポ。そして、日本店のディレクションを司り、日本発のオリジナルラインである【NSCO】のデザインを手がけているのは、1LDKなど数多くのショップのディレクターを務めてきたalpha.co.代表の南 貴之。

その研ぎ澄まされた審美眼で私たちを魅了してやまないクリエイティブ・ディレクターの知られざる幼少時代、多忙でありながら充実した日常、そして日本らしさとアメリカらしさを美しく融合させた【NSCO】2016 Spring & Summerコレクションのデザインに対する思いについて語ってもらった。

Need Supply Co.と南さんが一緒に働きはじめて約1年経ちますが、私たちと出会う前の南さんについて知りたいです。生まれた場所や育った場所について教えてもらえますか?

名古屋で生まれ、3歳まで過ごしました。その後、東京、さらに隣の千葉県市川で中学生まで過ごし、高校からはずっとまた東京に住んでいます。

どのようなものに子どもの頃は興味がありましたか?アイドルや人などで好きだったり、尊敬したりしていたのは誰ですか?

子どもの頃は絵描きになりたいと思っていたので、毎日自宅でひとり絵を描いていました。その時、ピカソ、モネ、モディリアーニなどの画家の絵が好きで、よく真似て描いていました。小学生4、5年生の頃の話です。それよりもっと幼い頃には、漫画やアニメが好きでキャラクターの絵を書くこともありました。アイドルやポップスター、偉人など誰かに憧れるという感覚は、子どもの頃も現在も感じたことはありません。

初めてのお気に入りの服はどのようなアイテムでしたか?

コムデギャルソンオムプリュスのスーツのセットアップです。ウールギャバジンのカリッとした質感が好きで、シルエットも少しボックスで大きめに作られていました。今振りかえってみても、あれはすごく良いものだったなと思います。

アート、デザイン、ファッションの世界へ入ったきっかけは?

オフィスワーカーになって、ネクタイを締めるのが嫌だったからです。ただそれだけです。

alpha co.を設立した背景を少し教えてください。

10年以上勤めていた会社を辞めて、また会社に入るのが嫌だったのです。誰かに雇われるのが嫌だったし、もともと向いていないと思っていました。辞めたときに「このタイミングだ!」と決断し、独立しました。設立して5年ほどは従業員もおらず、オフィスもなく、ノマドワーカーのようにひとりで走り回っていました。

通常の仕事日はどのようなスケジュールで、どのようなことをされていますか?

(会社のスタッフに)朝から夜遅くまでデザイン会議や、クライアントとの打合わせ、展示会などでスケジュールをパンパンに詰められています。

少し前にスタッフ達にお願いをして、週に一度アポイントNGの“考える日”を設けてもらい、頭をゆっくり休めたり、考えたり、本屋や美術館へ行ったりして、リフレッシュするようにもしています。そうすることも僕にとっては、仕事のうちのひとつだと考えています。

南さんのお仕事はどれも“good style”なものばかりですが、どこからインスピレーションを得ているのでしょうか?

普段から色々なものを色んな角度から見ること、(モノづくりなどの)現場に行くこと、人と話すことで、点になってものが線になって繋がる瞬間があって、それを最終的にインスピレーションの源として形にしていっています。

NSCOのSS2016のデザインは、どこからインスピレーションを得ていますか?

伝統的なもの(それは日本的なもの、欧米的なものも含め)と現代的なもの(現代の生活、生活する中で必要なこと)を掛け合わせています。たとえば、伝統的なものでいうと、和服。欧米的なもので言うと、テーラリングだったり、ワークウェアだったり、ミリタリーウェアだったりを再解釈し、現代的な機能だけを持たせて、アップデートしています。

NSCOの服のデザインは、アメリカと日本の伝統的な服のバランスが良く取れていると思います。このふたつの文化は、なぜこのようにうまく調和するのだと思いますか?または、アメリカと日本の文化のどのような特性によって調和がとれているのだと南さんは思いますか?

洋服というのは基本的に日本以外の国で生まれ、着物は日本で生まれたものです。それぞれに機能があり、それぞれが考えられていて、それぞれの機能がリンクしたり、考えがリンクするところがあります。それをピックアップして、デザインに落とし込んでいるからだと思います。つまるところ、どこの国に住んでいても服という概念に関しては、フラットになってきていることという事も調和がとれている要素だと考えます。

このコレクションを作っているときに気がついた、もっとも特筆すべき違いはなんですか?

パターンが根本的に違うということでしょうか。日本の服は平面で作られていて、包む、たたむ、折る、絞るという形で作られていて、欧米の服は、体のラインに対して立体に取られています。

このコレクションに特にお気に入りのアイテムはありますか? もしもある場合、どのアイテムですか? なぜお気に入りなのでしょう?

もちろん全て気に入っていますが、中でもウエストを共地で縛るタイプワイドパンツが気に入っています。帯を縛るという日本的な服の仕様とワイドシルエットのスラックスという洋服を掛け合わせたところが気に入っています。

NSCOを始める前からGraphpaperの服もデザインしていますよね。洋服のデザインにおける成功の秘訣はなんでしょう?

成功しているという感覚がないので、成功の秘訣と言われると実感がないのですが..  自分がこういうものが欲しいとかこれがこうだったら良いのに、と思うポイントを落とし込んでいるところが共感を得ているのではないかと思う。

南さんのデザイン哲学は?

全てにおいて、デザインし過ぎないこと。

最後に、現在南さんがワクワクしたり、影響を受けたりしている人や物について教えてください。

先に述べた通り、人の影響を受けたりということは特にないのですが、昔のフランスのデザイン家具からは刺激を受けたり、デザイン哲学の共通点を感じています。

南さんセレクトの5アイテム
(2016年7月時点の在庫です)

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