35mmフィルムのロサンゼルス

Words &Images: Sean Santiago

2016月3月27日

僕はサンフランシスコから約1時間ほど行ったベイエリアで育った。ヤシの木ではなく、セコイアが林立し、ニンニクの生産で知られる地域だ。 高校1年生の時、僕の家族は国の反対側にあるヴァージニア州の田舎町へ引っ越した。 新天地での体験は、カルチャーショックなんていうレベルではなかった。馬、North Faceのジャケット、会員制のディスカウントストア。どれもベイエリアにはなかった文化だ。クラスメイトたちはカリフォルニア出身はみんな映画スターのようだと思い込んでいた。そのため、色白でサーフィンにも乗れない僕が転校してくると、みんながっかりした。それに、カリフォルニアから来たといっても僕はロサンゼルス出身じゃなかったから、それもあまり歓迎されない理由となった。

 

太陽が輝く南カリフォルニアには一度も行ったことがなかった。ベイエリアの僕が住んでいた家の裏庭にプールはあったけれど、そこはハリウッドみたいな地域ではなかった。僕の想像の中のロサンゼルスは漠然としていて、北カリフォルニアのほうが優れていると常に思っていた。しかし、それも僕がニューヨークに引っ越すまでだ。ニューヨークの厳しい冬のせいで、ロサンゼルスが僕を誘惑したのだ。気候の面で考えると、ロサンゼルスが年中に陽だとすると、ニューヨークの長い冬は陰。このふたつの大都市はまるでお互いをピンと引っ張り合っているように対照的だ。ニューヨークで冬を過ごすことで、真逆のようなロサンゼルスにいよいよ行かずにはいられなくなった。

ロサンゼルスは、自分の目の高さで見ないと、街の実体がつかめない。一階建てのビル、駐車場、モール、道路標示、高速道路。それをひとつひとつ自分の目で確かめる。すると見た景色は混ざりあい、ぼやけ、次第にGPSに依存することになる。ニューヨークでは、北から南へと移動していた。ロサンゼルスでは海岸沿いから内陸へ、と横から横へ移動している。(というか、ほとんどはぐるぐると回っているだけ。)そんな、ロサンゼルスの曖昧な地形はとてもアメリカらしくも感じる。橋もなく、トンネルもなく、国境もなく、先端もなく、境界線もないこの都市は、町と町がまるでにじむように混じり合っている。広大な土地があるという理由から、ロサンゼルスという街は貪欲にだだっ広い。ビーチの砂に境界線を引くわけにはいかないだろうし。しかしながら、これほど空き地を美しく利用している都市が他にあるだろうか?

ショーン・サンティアゴはライター、コンサルタント、Cakeboy Magの創立者。ショーンの仕事内容をウェブサイトインスタグラムでフォローしてみよう。